真鍋小学校で、ICTを活用した授業を行いました
さる11月22日、真鍋小学校にて笠岡諸島で4校目となる、パナソニック遠隔電池教室を行いました。これまで同様、インターネット(ICT)を活用し、パナソニック株式会社エナジーデバイス事業部、ICT技術者梶田氏、かさおか島づくり海社の体制で実施し、これで2月の白石小学校・9月の北木小学校・10月の六島小学校・そして今回の真鍋小学校と笠岡諸島の4つの小学校での実施が完了、あらたなネットワークが形成されました。
当プロジェクトは
◇ICTを活用した笠岡諸島の振興
◇テレビ会議システムによる島内外の交流機会の創出とその体制の構築
◇日常ではなかなか体験できない授業機会の提供
といったことを目的としてこれまで実施してきました。諸島内全4校での実施ということで、一応の目標は達成できたと考えていますが、今後に向けて大切なのが、2番目の『交流機会の創出』の展開です。
今回のやり取りの内容(ソフト)は、パナソニック社ご提供の体験学習『遠隔電池教室』で、大阪府守口市と笠岡諸島の各小学校を繋いでのものでした。パナソニック社としても前例がない初の離島開催でしたが、小規模・複式学級という難しい条件下でも、ベテラン講師の方のご担当・規約の変更など様々な点でご協力いただきました。そのかいもあって、受講した学校からも「有意義かつ貴重な体験ができた!」「身近だったが特に意識することがなかった電池づくりを通じて、科学に関心を持った」といった声も届いています。
また、技術協力をいただいた梶田氏は、この遠隔電池教室と同じシステムを活用して、これまでオーストラリア、ペルー、ベラルーシ、ネパールなど、インターネット環境が潤沢とは言えない発展途上国を含む約30か国と、音楽交流や日本の小学校の授業の紹介など、年間100回以上にわたる多種多様な交流に取り組まれています。特にオーストラリアでは日本との交流に関心を持つ人が多く、日本語の授業は人気科目となっているそうです。
そしてそういった取り組みの先進地が大阪府河内長野市とのことです。公立の教育メディアセンターが設立され、下記を目的に運営されています。これまでの授業内容など、さすが先進地といえる取組です。
◇学校に導入されている学習ソフトの活用支援
◇授業のための教材ソフトの制作
◇交流学習のための電子掲示板等の活用支援
◇テレビ会議による交流授業のシステム支援
◇地域へのコンピュータ研修
今回当授業を実施して感じたのが、インターネット環境の強化と、サポートを行う専門家の必要性です。かつての情報ハイウェイ構想で整備された今の島のネット環境ですが、特に真鍋島・六島では回線が途切れがちでした。今回はモバイルルーター(y!mobile)の活用で事なきを得ましたが、そんな時どうすれば良いか、その原因は何なのか、今後ICTを活用して授業を行う際にはどういったことが問題となるのか等々、日常の道具として扱うには、その準備などが先生方の負担とならないよう、専門家によるサポート・ケアの体制が不可欠だと感じました。そのセンターへも技術協力をされている梶田さんの話では、河内長野市の場合はそこに専任の担当者を1人配置されていることが、市のICT教育推進の取組の成果に寄与しているのではとのことでした。そして残念ながら、非常に難しい点であるとは思うのですが、現時点で笠岡諸島では、それらは十分であるとは言えません。
そういった点はありながらも、今回初の取り組みとなったICTを活用しての交流の機会を、今後もじっくり育てていければと考えています。現在全国の離島地域で盛り上がる、高校魅力化推進の取り組み。そこでは島特有の少人数・地域ぐるみの教育環境が武器として捉えられています。そしてその環境にあこがれて全国・世界から学生が集まってきています。笠岡諸島には残念ながら高校はありませんが、課題を主体的に解決しようとする子ども達が育つ、今の環境はもっと魅力的に捉えられても良いように思えてなりません。そういった『島の魅力化』に島づくり海社も取り組んでいければと思います。
最後になりますが、このたびの4校での授業にご協力いただいたご担当の先生をはじめ教育委員会・学校関係者の皆様、講師を務めてくださったパナソニック株式会社エナジーデバイス事業部末次様、技術協力その他に大変なご尽力をいただきました梶田様にお礼申し上げます。誠にありがとうございました!